[毎日小学生新聞]連載「本の森」Vol.1 アンデルセン『はだかの王さま』


ミミズク小学校に通っているツマズクさんは、本を読むのが大好き。おはなしの世界に入り込みすぎて、国語の問題を解くときは、ついつい考えすぎてしまうのが悩みのタネ。見つけたばかりの面白い本について大好きなアダナ先生と話しているうちに、今日もおはなしの森の中に迷い込んでしまったみたい・・・。


ツマズクさん(以下ツ):アダナせんせい、せんせーい!
アダナ先生(以下ア):はいはい、なんでしょう?
ツ:芥川龍之介さんの書いた『桃太郎』っていう本、読んだことある?
ア:ありますよ。こどもの頃にきいた桃太郎と全然ちがって、面白いでしょう。
ツ:全然ちがうどころか、大ちがいだよ。桃太郎が悪い人みたいなんだもん。
ア:あれ、そうでしたっけ?
ツ:そうだよ。だって、鬼は悪いことしてないのに、桃太郎が鬼をやっつける話になってるん
だもん。
ア:ツマズクさんが前に読んだ話では、桃太郎は悪くなかったのかな?
ツ:そうだよ。だって鬼が、まず最初に桃太郎の村の宝物を盗んだでしょ。だから、桃太郎は
それを取り返しに、鬼ヶ島に行ったんだもん。
ア:どうして鬼が、桃太郎の村のお宝をうばっていったんですか?
ツ:え、そりゃ、鬼が悪いヤツだからでしょ。
ア:ふーん、どうして鬼は悪いヤツなのかな?
ツ:え、それは・・・どうしてだろう?
ア:はっはっは。人間が、鬼を怒らせるようなことしたのかもしれないですよ?
ツ:たとえば、むかし人間に盗まれた宝を、鬼が取り返しにきただけ、とか?
ア:そうだとしたらツマズクさんが昔きいたおとぎ話も、鬼は悪くないですね。
ツ:たしかに・・・でもせんせい、わたしがききたかったことはそこじゃないの。
ア:あらら。なにかききたいことがありましたか?
ツ:そうそう。芥川さんの『桃太郎』は人間の世界じゃないところからドンブラコッコって流
れてきたわけでしょ?
ア:そう書いてありますね。
ツ:じゃあさ、桃太郎って人間じゃないと思うんだけど。
ア:そうかもしれない。
ツ:っていうことは、桃太郎って・・・鬼なんじゃないかなぁ?
ア:ホーホー、それは面白い考え方ですね。思いつかなかったなぁ。

芥川龍之介『桃太郎』